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連載記事

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ケンチクノワ

富山を拠点に県内外で活躍する個性豊かな建築家12名のリレーブログ。テーマに沿り、12名の建築家が建築設計に対する想いや考えを綴り、バトンを繋ぎます。3周目のテーマは、「基本構想が生まれるまで(アイデアとの出会い)」です。

※毎週火曜日に掲載

dot studio一級建築士事務所

(ぬま) 俊之(としゆき)


テーマ vol.3基本構想が生まれるまで(アイデアとの出会い)

「インプットと妄想を繰り返す」

今回のテーマを真面目に考えてみると、基本構想が生まれるタイミングはプロジェクト毎に違っていたり、日常の中にヒントがあったりします。これまでのケンチクノワで皆さんが書かれていることは、自分にとっても当てはまります。

アイデアは、決まったルーティンの中で生まれるわけでもなく、打ち合わせの移動中に車内でふっと湧いてくることもあれば、銭湯でサウナ上がりに露天風呂で寝転がっていると出てくることもあったりします(笑)。こんな風にアイデアと出会うタイミングは自分でも読めませんが、出会った瞬間はハッキリとわかります。めちゃくちゃワクワクして、そのままお酒を飲みに行きたくなります。

どのプロジェクトも建築主の話を聞いてから構想をスタートさせますが、ヒアリングから初回提案までにインプットの幅をどれだけ広げられるか、建築主の周辺のカルチャーをどれだけ感じられるか、この掘り下げ作業が重要だと思います。こうして生まれる初期の基本構想は、コンセプトやストーリーがしっかり組み立っているので、その後のデザインや素材などが決まりやすくなります。

建築主の想いからストレートに基本構想が生まれ、そのまま形になったプロジェクトを1つ紹介したいと思います。

富山市民プラザ前の大手モールでのプロジェクトですが、マルシェイベント用のストリートファニチャーを提案しました。大手モール振興会、越中大手市場実行委員会、富山大学都市デザイン学部、大手市場の出店者の方など、多くの関係者の意見を形にするのですが、関係者の方々の想いはとてもシンプルでした。

・簡単に移動できること。女性出店者でも容易に移動
・マルシェ開店前は時間がないので短時間に組み立てられること
・飲食店、物販店に対応可能なフレキシビリティがあること
・収納スペースの関係上、収納時は省スペースであること
・都市景観をカッコよくしたい
・トランジットモールを意識して表裏がないこと

などといった機能的なことでした。こうして生まれた基本構想がコチラです↓

ここから大枠は変わらず、ディテール部分で改良を加えながら形にしました。

 

その名も「まちなかテント」。これは収納時

オープン時は商品や物を配置が出来るようになっている

とある日の大手モール。毎月第4日曜日に開催。皆さん是非ともいらしてください!

 

わかりやすい例を上げましたが、プロジェクトの規模に関わらずインプットと妄想を繰り返して、時にワクワクしてアウトプットするという日々を過ごしています。

沼俊之

PROFILE

dot studio

〒939-8081
富山県富山市堀川小泉町1-4-12-2F
https://www.dotstudio.co

沼俊之

1982  富山県高岡市生まれ
2008 法政大学大学院修了(渡辺真理研究室)
2008 設計組織ADH
2014 dot studio設立

    日本建築学会
    一級建築士