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君は見たか?トンネル貫通の瞬間!※動画あり

君は見たか?トンネル貫通の瞬間!※動画あり

土木

1.まずは、利賀ダムのこと

洪水被害などから人々の生活を守るダム。南砺市で利賀ダムの建設事業が進められています。皆さんは利賀ダムのこと知っていますか?または聞いたことありますか?高校生や大学生の皆さんは、現場見学会に訪れたこともあるのではないでしょうか。今、利賀ダムを作るための工事が着々と進んでいます!

利賀ダムは、①洪水の調整をして地域の安全を守る ②庄川、利賀川の正常な流水機能を維持 ③豊富な工業用水を確保し、地域の産業の発展に貢献する

↑3つの主な役割を果たすため、利賀ダムを作っています。利賀ダム建設事業に係る調査・設計・工事は、国土交通省北陸地方整備局(所轄:利賀ダム工事事務所)が発注し、工事や資材を運ぶための道路や橋、トンネル工事を全国から建設会社などが集結して作っています!

今はダムを作る工事のための工事が進められており、利賀ダム事業全体の進捗率は約46%です。6年後の2028年度にダム本体の工事に着手する予定で、2031年度の完成を目指します。総事業費は約1640億円と試算されています!

利賀ダムの建設事業は、1989年からダム建設に向けた調査を始め、1993年から事業がスタートし、今年で31年(7年間事業が凍結しました)です。ダムは高さ112m、長さ232mを想定し、東京ドーム25杯分の水を貯めておくことができるとのこと。 

利賀ダム本体の建設現場に最も近く、建設資材の運搬などに重要なアクセス道路となる「利賀ダム河床進入トンネル」の延長358m区間が8月26日に貫通しました。ラボ取材班は、トンネル貫通の瞬間に立ち合い、工事を担当する前田建設工業の現場所長さんなどにお話を聞いてきました!

 

2.いざ、トンネルへ!

トンネル近くまでは車で送迎してもらいました。そこからは徒歩

トンネル近くまでは車で送迎してもらいました。そこからは徒歩

いざ河床進入トンネルへ!

いざ河床進入トンネルへ!

トンネルはけっこうな急勾配。まだ舗装されていません

トンネルはけっこうな急勾配。まだ舗装されていません

行き止まりの279.4m地点に到着!

行き止まりの279.4m地点に到着!

この日は、279.4m地点から行き止まりとなっている壁の貫通作業が行われました。貫通作業はブレーカーと呼ばれる掘削するための重機を使います。作業は、前田建設工業の第一下請である海道建設(宮城県仙台市)の現場作業員が行いました。

こちらがその時の様子です。

開始から10分、貫通して光が
(動画では伝わりにくいかもしれませんが、貫通後すごい風圧で手ブレが発生しています…)

見事、壁に穴が空いて光が差し込みました。貫通を見届けた発注者、工事関係者らから拍手が送られます。貫通後は、海道建設の社長さんら3名の方がお酒を撒いて現場を清めます。

貫通をお祝い。集合写真も忘れません。

貫通をお祝い。集合写真も忘れません。

貫通直後に、前田建設工業北陸支店で利賀ダム進入トンネル作業所の福谷将徳所長にお話を伺いました。

この現場を仕切る福谷所長。オーラを感じます。

この現場を仕切る福谷所長。オーラを感じます。

 

ラボ

このトンネル工事は現在何名で作業されていますか?

福谷さん

前田建設工業は6名、海道建設は17名います。昼夜24時間体制(2交代制)で作業にあたっています。

ラボ

このトンネルはどうやって掘削をしていったのですか?

福谷さん

ここは火薬を使って、地山を崩してダンプで外に出し、ブレーカーで綺麗に成形します。その後に、トンネル形状のH鋼を1mずつ骨組みのように組み立てて、吹き付けコンクリートで固めていきます。

これがブレーカー。近くで見るとすごい迫力

これがブレーカー。近くで見るとすごい迫力

ラボ

このトンネル工事の特に難しいところはどんなところですか?

福谷さん

一般的にトンネルは、目の前の山(切羽)からの崩落が人に危険を及ぼすので、点検しながら安全に掘削を進めていくことが一番大事です。このトンネルは12%の突っ込みの下り勾配に加え、55Rの急カーブで全国的にも珍しく、あまり例がないトンネルです。この難関のトンネル工事を精度良く掘削し、発注者にお届けするという使命を持って仕事をしています。

トンネルを出た後は、発注者である利賀ダム工事事務所の久保光晶副所長にもお話をお聞きすることができました。

利賀ダム工事事務所の久保副所長。

利賀ダム工事事務所の久保副所長。

ラボ

このトンネルはダム建設においてどのような役割を担うのでしょうか?

久保さん

このトンネルがないと利賀ダム本体の着工は出来ませんし、2車線を確保しているので、資材運搬などにおいて非常に重要なルートになってきます。このトンネルが完成すれば転流工(河川の流れを変える工事)を経て、いよいよダム本体の工事に着手できます。

ラボ

利賀ダムの役割は?

久保さん

500tの洪水調節が出来ますので、下流域には非常に安全性が高まります。

 

長いようであっという間のトンネル工事の取材も終わりました。トンネルを出て帰り道を歩きながら、「やはり、若手の方の声も聞きたい!」そう思っていたところ、チャンスが巡ってきました。前田建設工業北陸支店で利賀ダム進入トンネル作業所の太田光貴主任に、「土木」の仕事についてお聞きしました。

快く取材に応じてくれた太田さん

快く取材に応じてくれた太田さん

太田さんは、香川県出身の34歳で入社9年目。広島大学院工学部で土木を専攻。工事が始まった3年前に富山に来て、現在は現場から車で30分のところにお住まいだそう。

ラボ

建設業、土木の仕事について太田さんの想いを教えてください

太田さん

大きな構造物を作りたいと思ってこの仕事に就きました。正直、昔は土木より建築の道に進みたいと思っていましたが(笑)。でも、自分が携わる構造物の進捗を目の前で見ることができるこの仕事にやりがいを感じますね。

ラボ

この仕事で辛いことなどはありますか?

太田さん

現場はやはり過酷な時もあります。働き方改革も完全には進んでいません。この現場は4週6休ですね。

ラボ

逆に良い面はありますか?

太田さん

人との出会いですね。多くの人が協力して一つの現場を仕上げていきます。自分とは育ちも環境も違う人達とたくさん出会えることは、この仕事の良いところだと思います。

 

これで、今回の利賀ダム河床進入トンネル工事の取材は終わりです。私たち取材班も、機会がないとなかなかトンネル工事の現場には入れません。予定では、利賀ダムが完成するまであと11年かかります。完成まではまだ先の話ですが、険しい山中での工事がこれからも続き、たくさんの人達が利賀ダムの工事に携わることでしょう。工事の安全を祈念し、機会があればまた取材に行きたいと思います!

利賀ダムのさらに詳しい情報は利賀ダム工事事務所のホームページまで
https://www.hrr.mlit.go.jp/toga/index.html