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THE SABO2022 〜富山平野を守る男たち(後編)〜

THE SABO2022 〜富山平野を守る男たち(後編)〜

土木

立山カルデラで富山平野を守る「水谷協力推進会」の男たちに密着取材を敢行!前編に続き、後編となる今回は4現場の様子をご紹介していきます!

是非とも【前編】をお読みいただいてから、後編にお進みください!
https://www.kensetsu-labo.com/article/5192

 

4.水谷第3号砂防堰堤補強工事 

石黒建設株式会社

この堰堤補強工事の現場は2015年から始まりました。現在の堰堤は約半世紀前に作られていて、表面が劣化し、水や砂が漏れてくる恐れがあるため、補強が行われています。

古い堰堤の表面に、120×60cmの新しいコンクリート型枠を貼って、コンクリートを増し打ちする「腹付工法」という手法。高さ15mにも及ぶため、根気の必要な作業です。。

入社20年目、監理技術者の発田寛樹さん

社歴30年のうち「2/3は山にいる!」という現場代理人の宮一弘さん曰く、「コンクリート型枠は1枚60kgあるので、一枚一枚レッカーで吊り上げては貼り付けての繰り返し。コンクリート型枠は厚みが薄いので、少しずつ慎重に貼り付けています」と話してくれました。

山工事大ベテラン入社30年目、現場代理人の宮一弘さん

水の勢いはものすごい迫力

既存堰堤の素地が古く質が悪いため、新設の作業よりも何倍もの時間がかかるそうです。

取材中、ちょうど生コン車が到着。クレーンで生コンを運びます

「この立山カルデラの現場は、一般の人が立ち入る事が出来ない場所で仕事が出来ます。土木工事は自分の作ったものが何十年先も残るので、やりがいはやっぱりありますね。20歳で家を建てて、家から現場に通ったのは数えるほどですが(笑)。それでも家族の支えがあって、なんとか楽しくやれていますよ!」と語ってくれました。

ケガ一つせず、家族のもとへ帰ることが何よりも優先される

(左)監理技術者 発田寛樹さん、(右)現場代理人 宮一弘さん

5.真川第3号砂防堰堤工事 

株式会社高田組

今年で10年目を数える真川第3号砂防堰堤工事 。今年の工事では河床洗堀防止を目的とした護床工と呼ばれる構造物の施工を行っています。サイズは1ブロック4m×4m、厚さ2m!

※「THE SABO2021」の記事でも同現場をご紹介しています!

現場の打ち合わせ中

この現場の作業を説明してくれたのは現場代理人の奥野元稀さん、入社5年目のフレッシュな社員です。

山工事デビューの奥野さん

奥野さん

昨年度までは川や道路の工事を担当していましたが、山は今年度が初めて。全くの異世界に来た感じです(笑)。上司から「山に行ってこられ!」と言われた時は、正直「マジか!ついに来たか!?」と思いましたが、想像より自由な面もあって仕事もアフター5も楽しんでいます。

「夕方に温泉(天涯の湯)に行くのが、何よりの楽しみです!平野部の現場と違って、コンクリートの構造物も一つひとつ規模が大きいので『作っているぞ!』と、やりがいを感じています!」と笑顔で語ってくれました。

天然の温泉「天涯の湯」。限られた人しか入ることのできない激レアな温泉

(左)現場代理人の奥野元稀さん、(右)監理技術者の橋場洋平さん

お昼休憩は、高田組さんの現場事務所休憩所にて昼食を!現場から各社の宿舎まではめちゃくちゃ狭いトンネル(昔はトロッコ用のトンネルだったそう)を通って行かなければなりません…!

狭すぎて車のミラーすれすれ汗

水谷にある各社の宿舎。現場の皆さんは6月〜10月の平日は、この事務所兼宿舎で寝泊りします。中は広くて案外快適!

6.兎谷第2号砂防堰堤及びブロック製作工事 

株式会社林土木

 

2011年から始まった兎谷の堰堤工事は干場建設、高田組、林土木と現場をを引き継ぎ、約10年の月日を経て、完成です!

「今年は、最後の堰堤を仕上げる作業を行なっています」と水谷歴22年の大ベテラン、監理技術者の中田晴紀さんは教えてくれました。急勾配のため、重機も道を変えながら進まないと上まで辿り着けないほど、過酷な現場です。

濃霧がすごい…

林土木では、安全掲示板にアンドロイドTVを設置。作業の現状を見せたり、図面を出したり、毎朝のラジオ体操に利用するなど、山深い現場にも関わらずIT化に力を入れています!

↑山深いところでこんなに楽しく体操できちゃう

「どうせなら仕事は楽しい方がいいよね!」とアンドロイドTVを取り入れ、インスタグラムもマメに更新する中田さん

「兎谷第2号砂防堰堤工事」専用のアカウント。工事完了とともに投稿は新たなステージへ…!フォローしてみてね

現場代理人の山崎光星さんは23歳。入社6年目、水谷は今年で2年目。「自然に囲まれて、晴れた日には絶景が楽しめる山での現場仕事は面白いですね。平野とは違って山脈の隅々まで見えるんですよ。ここに来るまでは虫が嫌いでしたが、1カ月で慣れました(笑)」。職人さんを含めて、8人での共同生活も謳歌しているようでした。

綺麗な紅葉にうっとり…

(左)現場代理人の山崎光星さん、(右)監理技術者の中田晴紀さん

7.湯川第15号砂防堰堤工事 

中越興業株式会社

この現場は、砂防堰堤を作るために、新たに橋を掛け盛土を行って工事用道路を作る工事です。河川を何度も切り回しながら、新しい橋をかけていきます。現場を担当するのは監理技術者の高松二三夫さん、現場代理人の松田勇気さん、担当技術者の安念匠海さんの3名です!

(左)監理技術者の高松さん、(中央)担当技術者の安念さん、(右)現場代理人の松田さん

安念さんは入社4年目で、山は今年が初めての体験。「山の現場は想像していた以上でした。普通の人が入れないような場所で仕事ができるのはとてもやりがいがあります。一歩ずつですが、構造物が無事できた時にはよかったなと感じます。土木現場の中でも貴重な経験が出来るので、ありがたく感じています」と話してくれました。

山工事職人の手

計7箇所を回った今回の立山カルデラ砂防工事ツアー。2年目の今年も平野の日常では見られない、刺激だらけの取材でした。

私たちが「平野部で過ごす平和な日常」が守られているのも、この水谷協力推進会の皆さんが日々一生懸命、大自然相手の現場に立ち向かい、戦ってくれているからこそ!この事を改めて実感しました…。

富山平野を守る男たちに、感謝とエールを贈りたいと思います!