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連載記事

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ケンチクノワ

富山を拠点に県内外で活躍する個性豊かな建築家12名のリレーブログ。テーマに沿って12名の建築家が建築設計に対する想いや考えを綴り、バトンを5周繋ぎます。遂に最周回。ラスト5周目のテーマは、「建築設計の楽しさ」です。

※毎週火曜日に掲載

中斉拓也建築設計

中斉(なかさい) 拓也(たくや)


テーマ vol.5 建築設計の楽しさ

「生き方の選択」

ケンチクノワのリレーブログもついに最終回のバトンがまわってきました。今回のテーマは「建築設計の楽しさ」ということで、建築設計という道を選択した23歳から今までを振り返りながら、都度、何に魅力を感じ、どんなことに楽しさを憶えているかをまとめてみたいと思います。

建築の仕事を志した当初は、インテリアデザインの世界しか知らず、街の一部に自分の設計した店舗をつくってみたいという単純な思いを抱えていました。商店建築という雑誌を見ては、自分が住んでいた関西圏内でデザイナーが設計した店舗を回って、素材に触れたり、客席廻りの寸法をスケールで測ったりしていました。

私にとって、この当時の設計は実務でなく、あくまで専門学校の課題やコンペにおいての設計でしたが、見て回った体験をもとに見よう見まねで設計していた時間がとても楽しかった記憶があります。クライアントの予算も要望もなく、コンセプトだけを考えて設計にトライしていました。

その後、就学中に講師の勧めで建築の道に進むことになり、僅か1年間の専門学校生活でしたが、その間に出会った人や体験のおかげで、どんどん建築の世界に引き込まれていき、この道で生きたいと思うようになりました。23歳から歩みだした新しい道のなかで、もう後に引けないという状況。私は仕事に就く時、職業を選択するというより、生き方の選択をしたような記憶があります。

そこからはもう無我夢中でした。富山に戻ってきてからの修業期間は毎日、目が回るほど大変でした。この当時は師匠の表現したいことに理解を努めながら、大勢に影響の出ない詳細な範囲で自分なりに金物の使い方や納まりなどを追及していて、それが現場に入り、職人さんとも意見を交わしながら実際にカタチとなって出来上がっていく過程が楽しくてたまりませんでした。

そして今は、自分の設計事務所を営みながら建築設計に取り組んでいるわけですが、生き方の選択をした結果、完全に仕事が生活の一部となっていて、ライフワークバランスなんていうものはほとんど存在しません。それはそれで心地良かったりします。夢中になれる好きなことに取り組めている今、趣味が仕事のようで、仕事が趣味のような、そんな状態です。生業として取り組む建築設計は当然大きな責任がついてきます。スムーズにいくこともあれば、難儀なこともありますが、プロジェクトごとに新たな建築や空間を生み出していける楽しさはもう何にも替えがたい高揚感や楽しさがあります。

これから建築設計の道を志す人は、この魅力的な建築設計の世界に惚れて、覚悟を持って飛び込み、ぜひ、生き方の選択としてこの道を選んでほしいです。

それでは、設計の現場でお会いする日まで!

中斉拓也

PROFILE

中斉拓也建築設計

〒939-8206
富山県富山市布瀬町1-8-1
TAKAISHI Bldg2F
https://www.nkstky.jp

中斉拓也

1980年 富山県生まれ
2004年 バンタンキャリアスクール卒業
2004年 芦澤竜一建築設計事務所
2005年 濱田修建築研究所
2012年 中斉拓也建築設計設立