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連載記事

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ケンチクノワ

富山を拠点に県内外で活躍する個性豊かな建築家12名のリレーブログ。テーマに沿って12名の建築家が建築設計に対する想いや考えを綴り、バトンを5周繋ぎます。遂に最周回。ラスト5周目のテーマは、「建築設計の楽しさ」です。

※毎週火曜日に掲載

DOKO一級建築士事務所

道古(どうこ) 麻紀子(あきこ)


テーマ vol.5/建築設計の楽しさ

「日々、学び」

あっという間に「ケンチクノワ」、最終原稿となりました。約2カ月ごとに1原稿書いているわけですが、毎回「あれ、もう締め切り?」と時間の流れの早さに驚いています。これまでのテーマでお話してきた内容の中に「建築の楽しさ」について度々お話してきたので、最後のテーマまでよく考えて文章を書けばよかったなぁと、今さらながら思っています。

改めて「建築設計の楽しさ」とは何か考えるとキリがなく、ただその中でも強く想うこと、それは「学び」だと思います。建築設計とは、自分で思い描いたデザインを図化し、それを実際に建築物として建てることができる設計図にするまでをいいます。どの工程が抜けていても建築設計とは言えません。

前のテーマでお話しした内容の中には、主に自分で思い描くまで、それをアイデアとの出会いとして話しましたが、その後の工程も建築家にとってはとても大切で、大変な作業となります。

自分の思いを描けるようになるにも「学び」があり、それを図化し、設計図に表す事ができるようになることにも「学び」があります。またそれは、思い描くものが大きく複雑になればなるほど、また細かくなればなるほど、より「学ぶ」必要があります。以前は出来なかった頭の中にある事を図面化することも、経験によってできるようなことがいっぱいあります。経験の中にはもちろん、成功も失敗もあるわけです。

また、図面化出来たとしても今度はそれを実際の建物にしなければなりません。この行程で色々な人に知恵を借り、コミュニケーションからヒントを得ることも沢山あります。携わる人々と会話をし、共有し、そして色々な経験をして、図面は実際に建てることの出来る図面へと変わっていきます。

それは無限ループのように「思い」→「学び」→「作図」→「学び」→「現実」→「学び」→「思い」と続きます。情報はどんどん進むので、新しい製品や技法の習得は日常ですし、建築法規等もしょっちゅう変わりますので、最近はより学ぶことが増えたように思います。

それと共に、アイデア収集も怠りません。町を歩けば、目にするものに心惹かれ、買い物に行けば「この色がいいな、あそこに使えるかな」と想いを寄せ、美味しい食事を目の前にしても空間の設えを想像します。小学生のように学びが多すぎて、一日が24時間では全く足りません(笑)。

明日の自分は、今日の自分を越えているように、日々「学び」と格闘中です。

その中で、少し前の自分より大きく成長できている事を感じる瞬間・・・その瞬間が本当に嬉しく感じます。建築設計の楽しさを噛みしめながら、これからも直向きに学ぶ姿勢で頑張っていきたいと思います。

もう十年以上前になりますが、目にしたサグラダファミリア。近くで見るより、私はバルセロナの街に存在している姿を遠くから目にした、この瞬間に一番感動しました。同世代以上でないと共感できないと思いますが、某コーヒーメーカーのCM曲が頭の中を流れた瞬間でした

今回のテーマに沿う写真が見当たらず、どうしたものかと考えているうちに、青山さんのブログを拝見して、我慢してきた建築旅行熱がフツフツと湧き上がってきてしまいました。

メスキータの夕景。ただただ美しかったのを今でも覚えています

 

このような時代ですので、人と会う機会も減り、会話をする機会も減りつつある中で、この「ケンチクノワ」は、交換日記をしているようでとても楽しかったです。この「ケンチクノワ」を通して、他の建築家のメッセージから沢山の「学び」を得ることができました。貴重な機会をいただき、有難うございました。新たな学びをいただける建築家のメッセージ、最後まで楽しみにしています。

道古麻紀子

PROFILE

DOKO一級建築士事務所

〒939-0275 射水市八塚452
TEL.0766-52-6112
FAX.0766-54-5119
http://www.doko-arch.com

道古麻紀子

1979年 富山県生まれ
2002年 金沢工業大学卒業
2002年 濱田修建築研究所入社
2010年 DOKO一級建築士事務所設立
2015年 金沢工業大学 非常勤講師
現在に至る

一級建築士