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連載記事

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ケンチクノワ

富山を拠点に県内外で活躍する個性豊かな建築家12名のリレーブログ。テーマに沿って12名の建築家が建築設計に対する想いや考えを綴り、バトンを5周繋ぎます。4周目のテーマは、「建築と都市〜周辺環境との関係性〜」です。

※毎週火曜日に掲載

濱田修建築研究所

濱田(はまだ) (おさむ)


テーマ vol.4建築と都市〜周辺環境との関係性〜

「建築的思考こそ建築」

テーマについて述べる前に、私が教えている大学や所属する建築団体などで「建築とは何か?」「建築の分類」「建築的思考を持った取り組みは建築なのか?」などカテゴライズを考えさせられる機会が増えたように思います。これは建築が多様化しているからか、または社会構造の変化からなのか。おそらく両方が関わっているのでしょう。SNSの進歩で人々の繋がり方が大きく変わり、リアルとバーチャルの近似化が人の行動と感情に変化をもたらせているからです。

先日、種昂さんがブログで紹介されたネットワークづくりなどは、建築的思考により出来上がる取り組みであると思い、身近に起こっていることに気付かされて感心しました。人々の行動を左右し、感情にも変化をもたらす。これはまさしく建築であると思います。

つまり、建築的思考とは少なからず社会に影響を及ぼすことなのです。また、それは建築の規模、用途、そして新築、改修、内装設計に関わらず社会に影響します。例えば、住宅の内装設計のように外観がなく、極めて閉鎖的な空間であれ、その地域の風土や環境を連想して出来上がったデザインであれば、住まい手の行動と感情に影響を与え、人を通して社会へも繋がっているのだと思います。しかも現在、繋がりはミクロからマクロまで様々で、SNSによって拡大しているように思えます。

小杉の家

写真家の家

さて、今回のテーマ「建築と都市」の両者の関係性を考えたとき、前述のように建築であれば必ず社会と繋がっているのなら、ミクロな部分からマクロを発想すれば、解りやすいのではないかと思います。

例えばミクロな周辺環境で考えてみると、改修工事では既存部分の歴史や主旨を調査した上で一部は活かし、一部は新しい部材の造形を加えて、全体のバランスを取りつつ、一つの建築に仕上げていきます。新築であっても既存敷地の部分改修と捉え、外部空間も含めて建築に仕上げます。近隣地域や都市に対しても同様に、地域の部分改修と捉えることがその建築の立ち位置を定めるのではないかと思います。

既存改修のように周辺環境を建築に取り込みつつも、取り込まれることを意識していれば良い関係の建築になります。ミクロな関係は意識と共にマクロな都市へと繋がり、相乗的に建築と都市が良い関係性を保つことができるのです。

つまり、社会との関係を想像しながら、創造することが建築なのだと思います。

庭を囲む家

呉羽の茶室

石籠の家

水辺の民家ホテル

代表取締役 濱田修

PROFILE

濱田修建築研究所

富山県富山市内幸町7-1 ショートケーキビル
http://w2322.nsk.ne.jp/~hamada-a.a/index.htm

代表取締役 濱田修

1961年  富山県魚津市生まれ
1984年  近畿大学理工学部建築学科卒業
1984年  米三
1987年  石井和紘建築研究所
1993年  濱田修建築研究所 設立
現在に至る
2010年〜 金沢工業大学非常勤講師

一級建築士 応急危険度判定士 登録建築家

日本建築家協会会員
日本建築学会会員
富山県建築士会会員
富山県建築士事務所協会会員
日本商環境デザイン協会会員

2006年  日本建築学会作品選奨(福野の家)
      日本建築士会連合会賞(吉久の家)
2008年  グッドデザイン賞中小企業庁長官特別賞(そば蕎文)
2011年   第4回木質建築空間デザインコンテスト商業部門賞(鈴木亭)
2014年  うるおい環境とやま賞(Uchikawa六角堂)(米田木材㈱社屋) 富山県建築賞(木津の家)
2019年  グッドデザイン賞(あまよっと横丁)(石籠の家)
2019年  富山県建築文化賞(石籠の家)
2020年  富山県建築文化賞(あまよっと横丁)